代表的な島唄

 伴奏なしで唄われる古典も含めると、およそ2000もの島唄があるとも言われるが、異名同曲や別項でもふれたように同じ曲でも集落によってメロディや歌詞が全く異なる曲もあり、正確な数は分からない。

ここでは、どの集落でも比較的同じように唄われている代表的な島唄を紹介します。

行きゅんにゃ加那節 (共通語訳)
行(い)きゅんにゃ加那(かな)
吾(わ)きゃ事(くとぅ)忘(わす)れて
行きゅんにゃ加那
打(う)っ発(た)ちや 打っ発ちゃが
行き苦(ぐる)しや
ソラ行き苦しや
(ソラ行き苦しや)
行ってしまうのですか、愛しい人よ。
私のことを忘れて行ってしまうのですか。
いや発とう発とうとするが、
あなたのことを思うと行きづらいのです。
阿母(あんま)と慈父(じゅう)
物憂(むぬめ)や考(かんげ)えんしょんな
阿母と慈父
米取(こめと)って豆取(まめと)って
召(み)しょらしゅんど
ソラ召しょらしゅんど
(ソラ召しょらしゅんど)
お母さん、お父さん。
物思いをし、あまり考えなさいませんように。
私が米と豆を取ってきて、
ちゃんと食べさせてあげますから。
目(むぃ)ぬ覚めて
夜(ゆる)や夜(ゆ)ながと 目ぬ覚めて
汝(な)きゃ事(くとう)思(お)めばや
眠(ね)ぶららぬ
ソラ眠ぶららぬ
(ソラ眠ぶららぬ)
目が覚めて、夜中じゅう目が覚めて、
あなたのことを思って眠られません。
鳴(な)きゅん鳥ぐわ
立神沖(たちがみうき)なんて
鳴きゅん鳥ぐわ
吾(わ)きゃ加那(かな)やくめが
生(い)き魂(まぶり)
(ソラ生き魂)
鳴く鳥がいる。
立神の沖の方に鳴く鳥がいる。
いや、あれは私の愛しいあの人の
生き魂が鳴かせているのだ。
※参考のためによく唄われる歌詞を4番まで紹介しましたが、実はこの曲には無数の歌詞があります。
うた遊びで即興的に作られた歌詞がそのまま残ったのでしょう。
本来、島唄は人々が車座に座って楽しむものでした。
唄い手と聞き手は同じ座で、唄い手は聞き手にもなり、聞き手は唄い手になり、またお囃子もしますが、
現在ではそのようなカタチは薄れつつあるようです。善し悪しは別にして、唄者の唄う島唄を舞台で一方的に聞き、
あるいはテープやCDで聞くというスタイルは島唄の歴史からみれば、つい最近のことなのでしょう。

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